会議の概要
2018年9月26日(水)、品川プリンスホテルにて2019年度研修会が開催されました。
今年度の研修会では講師に立教大学経営学部教授の中原淳氏をお招きし、『希望の残業学 誰もが働きやすい職場をめざして』と題して、昨今話題の働き方改革の中でも大きな課題となっている長時間労働是正についてご講演いただきました。中原教授の研究テーマが人材開発・組織開発ということもあり、講演の効果を高めるために、近くの方同士で数分間ディスカッションする機会があり、いつも以上に気づきや学びがありました。
日本における長時間労働の実態を分析した結果、要因として「突発的な業務が頻繁に発生すること」「仕事の相互依存性が高いこと」等が示されました。これらの背後には、お互いにお互いをカバーし合う等、日本企業特有の「良さ」も隠れていると指摘した上で、残業のメカニズムとして「集中」「感染」「遺伝」「麻痺」の4つを示していました。残業の慣習は、循環するように伝播し引き継がれていくため、この悪循環を適切に止める必要があると述べ、そのアプローチとして「全社施策」と「上司による職場マネジメント」の2つを挙げていました。全社施策の場合、成否の鍵は従業員へのコミットメントであり、コミットメントを高めるには様々な方法を用いて告知を重ねて従業員全員に意義を伝えることが重要です。しかしながら全社施策だけでは残業発生のメカニズム自体を変えるには不十分で、メカニズムを変えるには上司による職場マネジメントそのものを見直さなければならず、管理職の育成や支援に対してさらなる投資が必要であると訴えていました。
今回ご講演いただいた内容は今まさに取り組まなければならない課題であり、すでに取り組みを始めている単組もあると認識しています。残業時間の削減だけをただ追いかけるのではなく、長時間労働が発生する根本原因を探求した上で、是正した先に何を実現したいのかをしっかりと構想する必要があると感じました。このためには労使がベクトルを合わせて取り組まなければなりません。この講演を通じて、各単組の働く仲間の代表である参加者全員が見識をより深めて、働き方改革の実現に向けた次の一歩を踏み出すヒントを掴んだと感じた研修会でした。